【探究の種】地域が先生!ー三瀬が教室 対話から始まる探究の旅 山形県鶴岡市三瀬地区ー

山形県鶴岡市三瀬地区を舞台に、地域との対話を起点とした探究学習が展開されています。山と海に囲まれ、宿場町としての歴史をもつ三瀬では、森づくりや再生可能エネルギー、食文化など、地域の営みそのものが学びの教材です。今回は、日承循環合同会社が取り組む「地域×探究」の実践を通して、三瀬だからこそ生まれる学びの可能性を紹介します。

山と海に抱かれた、学びのフィールド、三瀬を舞台にした「探究の種」

山形県庄内地域に位置する鶴岡市三瀬地区。西は日本海、残る三方は山々に囲まれ、地区内には三本の川が流れています。この地形が「三瀬(さんぜ)」という地名の由来ともいわれています。

自然豊かな三瀬は、江戸時代には宿場町として栄え、人と自然が共に生きてきた歴史と文化が今も息づく地域です。こうした背景を持つ三瀬は、探究学習において“教室そのもの”となる力を秘めています。

日承循環合同会社では、三瀬をフィールドの中心に据え、地域との対話を起点とした探究プログラムを展開しています。近年は中高生の学習旅行や大学生の地域インターンシップを受け入れ、三瀬の自然や地域住民との交流を組み合わせた体験型の学びを提案しています。

これらのプログラムの核にあるのは、「探究の種」を見つけ、問いを深めていくこと。自然、歴史、暮らし、そして地域の未来——地域に根ざす人々との出会いが、生徒一人ひとりの中に学びの芽を育てていきます。

森と生きる知恵を学ぶ「ひゃくねん森」/八森山が語る、持続可能な社会

三瀬ならではの取り組みの一つが、「ひゃくねん森」です。ここでは三代続く林業家が、循環型の森づくりに取り組んでいます。森を歩き、木に触れ、薪割りを体験することで、人と自然の関係を五感で学ぶことができます。

季節によっては、隣接する孟宗竹林での孟宗掘りや、孟宗汁・孟宗ご飯といった地域の食文化に触れる体験も可能です。食や森の循環を体感することは、子どもたちの探究心を大きく刺激します。

三瀬地区をまたぐ八森山には、尾根沿いに風力発電の風車が設置されています。かつては茅場や畑として利用され、現在はレクリエーション広場やスキー場としても活用されてきた場所です。

人の手が入り続けてきたこの山は、自然と人の関係、そしてエネルギーの在り方を考える絶好の教材です。再生可能エネルギーを切り口に、持続可能な社会について考える探究学習へとつながっていきます。

「地域×探究」を、これからも

三瀬での学びは、単なる見学や体験にとどまりません。地元住民との対話の場を設け、暮らしや自然との関わり、地域の変遷について語り合うことで、生徒たちは自らの価値観を見つめ直していきます。

地域課題と真摯に向き合う住民の姿勢に触れることは、生徒にとって大きな学びとなり、教室では得がたい気づきをもたらします。

日承循環合同会社では今後も、三瀬地区を拠点に「地域×探究」の学びをさらに充実させていきます。漁業、林業、再生可能エネルギーなど、探究テーマや滞在時間に応じて体験内容を柔軟に組み合わせたプログラムを提案しています。

「地域は生きた教材」。 三瀬の自然と人との出会いは、訪れる人の探究心を刺激し、心に残る学びへとつながります。日承循環合同会社は、地域とともに歩みながら、未来を担う子どもたちの“探究の旅”をこれからも支えていきます。