私は、大学生の時に個別塾でアルバイトをしていました。その時に担当していた高校生が名古屋大学に合格した時のエピソードを今でも思い出します。担当生徒が私のもとに、入学試験の結果を共有するためにやってきたときのことです。彼の合格報告に対して、私は「よく頑張ったね。」と伝えると、彼は「いや、僕は全然頑張っていないんですよ。」と応えました。私は、それは謙遜に違いないと、「いや、よく頑張ったじゃないか。」と伝えると、それでも彼は食い下がってきました。「全然、努力していない。」のだと。なにかもやもやとした気分が残っていて、私はその後も約20年に渡ってこの出来事について、これはどういうことだったのか、呑み込めない気持ち悪さを抱えていました。そして、企業や大学、高校などを対象とした教育事業を長らく行う中で、ようやく合点がいく理路を見つけました。彼が私に言いたかったのは、費用対効果・時間対効果の高い「学び」を実践したのだ、ということだったということです。