【街キャンプログラム参加者のいま】現役大学生にインタビュー!

街場のキャンパスメンバー:おおもり・みぞぐち

街場のキャンパスでは、静岡県掛川市を舞台に、「お茶」をテーマとしたプログラムを実施しています。今回は、約3年前にこのプログラムに参加してくれた現役大学生・三尾大知さんにインタビュー。高校時代に掛川を訪れたときの体験や、そこで得た気づきがその後の進路や現在の活動にどうつながっていったのか、お話を伺いました。

<三尾大知さん自己紹介>

2022年、筑波大学附属坂戸高等学校(通称「筑坂」)2年次に校外学習で掛川茶をテーマにしたプログラムに参加。現在は東京農業大学国際食糧情報学部2年生。甘いもの大好き!!な大学二年生!最近自身の筋肉が無さすぎることに気づいたのでぼちぼち筋トレを始めました!!食農教育、農業教育に興味関心があり、突撃する力で色々やってきた高校生活でした。その経験を生かして大学でも頑張ってます!!

校外学習では複数あるコースから掛川を選択してもらいましたね。どういった動機で掛川のプログラムに参加されましたか?

僕は新潟生まれ東京育ちで、曾祖母が新潟で米を育てています。中学生のときに塾の先生に勧められたことをきっかけに、「同級生が国数英理社を勉強しているあいだに農業を勉強するのってかっこいいかも」と思って筑坂を受験し、入学しました。高校の農業の授業で野菜は育てているけれど、お茶がどのように作られているかはあまり知らなかったので、日本人として学んでみたいなという気持ちがあり、校外学習では掛川のプログラムを選択しました。

実際に参加してみてどうでしたか?

お茶農家さんの話を聞いてみたい、と思って参加したので、製茶会社さんの工場で掛川茶が生産されている様子を実際に見られて、お茶にも個性があると知れたのが面白かったですね。工場の機械の老朽化や人手不足などの課題も知ることができました。また、日本茶の海外消費に目を向けて、抹茶をアメリカに輸出しているという取組も知って、日本のお茶生産について多角的に考えるきっかけになりました。

また、お茶農園を訪問した際に、炎天下の中、茶畑の真ん中で飲んだお茶がものすごく美味しかったことが忘れられません。校外学習に来る前はそれほどやる気がなかった同級生もみんなお茶の味に感動して、すぐお茶を購入していました!「リアルな体験って心を動かすんだな」と思いましたね。

真夏の掛川の茶畑(三尾さん撮影)

現地に行ってみてはじめてわかることも多いですよね。プログラムを通して特に印象に残っている経験はありますか?

一番衝撃を受けたのは、キウイフルーツカントリーJAPANさんの農園を訪問したときの経験です。地形や自然の仕組みをうまく利用した持続可能な農園づくりをされていて、農園でバーベキューを開催したり、そのための木材にキウイの剪定枝を使ったり。来園者も間接的に農業に関われる循環の仕組みを生み出していることに感銘を受け、農業をもっと学びたいというモチベーションに火が付きました。循環型農業については教科書や動画を通じて知識としては持っていましたが、実際に目にしたことがなかったので現場で見ることができて「パズルのピースがはまった」と感じた経験でした。

プログラム参加後、個人的にキウイフルーツカントリーJAPANさんを再訪されたとお聞きしました。

はい。2022年7月に校外学習で掛川の農園を訪問したときに、「普段どんな本を読んでいますか?」と農園代表の平野さんにお聞きしたら本をくださって、一対一で色々お話させていただきました。それをきっかけに、翌月8月に個人で再訪し、3日間ほどインターンをさせていただきました。夏場だったので農作業というよりは、農園の壁を作ったり、除草作業をしたり。その後も、平野さんが東京に来たときにお会いして、講演会に参加するなど、校外学習で得たご縁が続いています。

キウイフルーツカントリーJAPANの平野さんと。

校外学習が終わったあとも、ご自身で積極的に行動されたのですね!いま振り返ってみて、掛川での経験を通じて得られたものは何だと思いますか?

実は、高校2年生の体育祭で応援リーダーをやり遂げたあと、燃え尽き症候群のような感じになってしまって、授業の内容がほとんど頭に入ってこない時期があって…。校外学習で掛川のプログラムに参加したことで「今の俺なら何でもできる!」と再びやる気が戻ってきたので、自分にとってはモチベーションを上げるガソリンのような、ターニングポイントだったなと思っています。また、メンタルが落ち込んだときには、尊敬する人に会ったり話を聞いたりすると自分のモチベーションが上がるんだ、ということに気付くことができて、大学に入ってからもしんどいなと思ったときにはそれを実行しています。

高校卒業後、農業大学に進学されたのですよね。大学ではどんなことを学んでいますか?

母校の筑坂は将来の進路を考える機会が多い環境で、大学進学後も農業を勉強しようと決めていました。掛川のインターン最終日に、平野さんの農園で開催されたキャンプイベントで出会った農大生の話が面白く、「尊敬できるな、こんな大学生になりたいな」と思ったのが決め手となり、高校卒業後は東京農業大学に進学しました。

大学では、農業だけでなく日本の食文化について広く学んでいます。特に食農教育に興味があるので、もっと深く勉強したいなと考えているところです。学校給食など食事をする場面だけで行われる食育ではなく、たとえば田植えなど農作業を一緒にしたあとにみんなでご飯を食べるなど、体験を伴った食農教育というものに魅力を感じていて、この良さをもっと子どもたちに伝えていきたいなと思っています。

あと、農業とはまったく関係がないのですが、「今までやったことがないことをやろう」という気持ちから、社交ダンス研究部に入部しました。高校の時はアクティブにあちこち動き回っていて、その中で得られたことも多かったのですが、「大学では集中して一つのことをやり遂げてみたいな」という欲が湧いてきて。今シーズンは大会が多くて…いつの間にか農業よりも社交ダンス一色の生活を送っています(笑)。高校での「みんなちがって、みんないい」という雰囲気とはガラリと違う、「貪欲に勝利を目指す」という世界に最初は戸惑いましたが、両方の価値観を知ることができたのは自分にとってプラスになっているなと感じます。

大学では未経験で社交ダンスに挑戦中!大会にて。

大学でもアクティブに活動されている様子が伝わります!それでは最後に、将来について考えていることを教えてください。

まだ漠然としていますが、「途上国の人々に栄養指導や農業支援をする経験を積んだあとに、高校で農業の教師になれたら理想だな」と考えています。また、農大入学後にアメリカの農業教育に携わっていた方とお会いしたご縁で、テネシー州に1か月ホームステイさせてもらった経験があり、「テネシー大学の大学院に留学することができたらいいな」という想いも持っています。


柔軟性と行動力のある三尾さん、今後ますますのご活躍が楽しみです。お話を聞かせてくださりありがとうございました!

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