まず、角田市の魅力について教えてください。
横倉さん:私は角田市の中心部から外れた地域の出身なのですが、夜になると星が綺麗に見えて、音がほとんどなくて静かなんです。暗くなったら寝て、太陽とともに起きるような生活で。結婚して角田を出て近隣の町で暮らしているからこそ、不便な田舎ならではの自然を感じられる角田の贅沢さに気付きましたね。
佐藤さん:角田市は小さな山々に囲まれているから、『自分たちの町だ』というイメージが持てる感じが自分にとってはすごく居心地が良いですね。それでいて、農業をはじめとする、アイリスオーヤマやJAXA角田宇宙センターなど魅力的な産業の存在もこのまちの良いところだと思います。

便利な都会とはまた違う贅沢さや心地良さがあるのですね!
佐藤さん:そうですね。全国的な認知度は高くないかもしれませんが、市民の手で催されているイベントが毎週のように開催されているのも特徴かもしれません。梅まつりやずんだ祭り、牟宇姫夏まつりなど・・・とにかくイベントが多いんですよ!そのため、市内外の交流や行き来は活発だと言えると思います。


行政としてアピールしたい、角田ならではの施策はありますか?
佐藤さん:角田市は子育て支援に力を入れていまして、認可保育施設の保育料が0歳から完全無償化されました。また、市内の小中学校の学校給食費も無償化しています。子ども医療費助成制度は所得制限なしで、通院・入院とも18歳の年度末まで無料です。
横倉さん:角田市は「アクティブシティ宣言」をしました。笹川スポーツ財団さんとタッグを組んで「かくだ版アクティブ・チャイルド・プログラム」 を導入するなど、市全体で「乳幼児期から楽しく体を動かして、元気な子どもを育てよう」と継続的に取り組んでいるのも、全国的には珍しい例です。
「町全体で子どもの成長をサポートしよう」という姿勢が様々な施策に反映されているのですね。学校教育に関する取り組みも何かありますか?
佐藤さん:角田市にはJAXA角田宇宙センターがあり、市内の小中学校には「宇宙教育」 担当の先生がいます。これも全国的にいっても貴重な例だと言われる取り組みです。宇宙に関するプロフェッショナルを育てるためではなく、宇宙をきっかけに子どもの探究心に火をつけることを目的に、JAXA宇宙教育センターによる教員研修なども行っています。

今年度から高校生向けの探究研修補助金制度(そらトビ!かくだ)もスタートしたんですよね。
横倉さん:はい、角田市をとびだし、国内外での学びから「地域探究」に取り組む高校生を応援するために、留学費用を支援する補助金事業を開始しました。「地域探究」とは、自らの興味や関心に基づいて課題を設定したうえで、解決に向けた情報の収集・整理・分析を行い、対話・協働し、地域でのアクションから学ぶ取り組みとしています。国内・海外問わず、高校生が自分で選択した探究プログラムの参加費用総額に対して補助をします。変化の時代に、グローカルな視野を持って行動する高校生を応援したいと考えています。
▶詳しくはこちら「そらトビ!かくだ」(角田市高校生探究研修支援事業補助金制度)
こういった補助金制度を自治体レベルで導入する例はあまりないと思うのですが、どういった背景があったのでしょうか?
佐藤さん:市内唯一の公立高校である角田高等学校では、姉妹校協定を結んでいるアメリカのドーバー高校と、毎年相互に生徒や教員を派遣する交流活動を行っており、それを理由に入学を決めた生徒さんも毎年います。また、同校では総合的な探究の時間を「角高夢Project」 と名付けていて、ここ数年は外部のNPOの協力も得ながら探究活動を深めてきました。このように、高校生たちが外の世界を経験したり、自分なりのテーマを見つけてアクションしたり…といった素地が出来てきた中で、市としてもっと探究的な学びをサポートできないか、ということで補助金制度の検討が始まりました。
経済的理由からアメリカ短期研修への参加を断念する生徒もいて、定員割れしてしまう年もあること、また角田高校に限らず市内外の他の高校に通う生徒にも間口を広げたいという想いから、今回の制度の形になりました。
事業の構想ができてから実現まで例を見ないスピード感だったとお聞きしましたが、実際はいかがでしたか?
佐藤さん:角田市は、先にもお話しした通り子育てや教育などに注力しています。そのため、内部でも事業について好意的に受け止められた印象でしたね。こういった新しい挑戦はどんどんやっていきましょう、という反応でした。もちろん、事務上は全国でも少ない事例を調べたり、補助の制度や要項などを整えるのに急ピッチで、正直大変でしたが…(笑)
横倉さん:市として前例のない事業なので、うまく行くのか不安も大きかったですが、先日の説明会に参加してくださった保護者や生徒の皆さんの生き生きとした表情を見てホッとしました。まだ募集が始まったばかりで事業が終わったわけではないんですけどね(笑)。

最後に、 そらトビ!かくだ事業への想いや今後の展望についてお聞かせください。
横倉さん:私自身もそうなのですが、人前に出るのはちょっと苦手だな、でもちょっと挑戦してみたいな、という生徒さんが一歩外に出る機会として活用してもらえたらいいな、と思います。大それた探究テーマではなくとも、地元を出て新しい世界を見て角田に戻ってきたい、という気持ちで良いので、あまり敷居が高いと思わないでもらえたら。
佐藤さん:私は高校で地元を出て、仙台の大学に行って、東京で働いた後に角田に戻ってきた身です。一度外に出たからこそ気付ける地元の魅力や、新しい視点を持ってできる貢献の形があると思います。この補助金制度を活用して、短い期間でも地元を出て自分なりに探究してみたい、という高校生の背中を押せる事業に育てていきたいですね。
小さな町だからこそ、故郷を拠点に挑戦する若者を応援していきたい、という温かい想いが伝わってきました。貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!