【北海道探究】知床の大自然と環境保全― 世界自然遺産の地で考える、人と自然の共生 ―

今回は北海道を舞台にしたSDGs学習をテーマとしたプログラムを1つご紹介いたします。 北海道・知床半島。流氷が訪れる海と原始の森が広がるこの地では、今も人と自然が共に生きています。豊かな生態系を守る人々の取り組みを通して、私たち一人ひとりが自然とどう関わっていくかを考えるきっかけを得られる体験学習プログラムになっています。

北海道東部に位置する知床半島。オホーツク海に突き出したこの半島は、断崖絶壁の海岸線や原始の森、流氷が運ぶ栄養豊かな海など、世界的にも稀な自然環境を今に残しています。2005年には世界自然遺産にも登録され、その豊かな生態系は「地球の宝」とも称されています。

 知床の魅力は、単に美しい風景にとどまりません。冬には流氷とともにオオワシが舞い、シマフクロウやエゾシカ、ヒグマなど、多様な野生動物がこの地に息づいています。春から夏にかけては、知床連山に咲くシレトコスミレをはじめとした高山植物が山肌を彩り、海にはクジラやシャチ、アザラシが姿を見せます。まさに「生命の循環」を肌で感じることができる場所です。

 しかし、その豊かさを守るためには、絶え間ない努力が続けられています。漁業と環境保全の両立、観光による自然への影響、野生動物と人との距離の取り方など、知床には多くの課題があります。地元の漁業者やガイド、研究者たちは、自然と共存するための知恵と工夫を日々積み重ねています。

 体験プログラム「知床の大自然と環境保全」では、こうした現場を訪れ、自然と人の関係を多面的に学びます。たとえば、知床国立公園でのネイチャーガイドによる散策や、定置網漁を行う水産企業でのレクチャー、地元料理づくりの体験などを通じて、地域の暮らしと環境保全の結びつきを体感します。単なる観光ではなく、「知る」「考える」「行動する」学びの場がここにあります。

 プログラムの最後には、自分たちが学んだことをもとに、知床の未来に向けたアイデアをまとめるワークショップも行われます。知床の自然を次の世代に残していくために、私たちに何ができるのか。生徒一人ひとりが探究的な視点から課題を考えることで、自然との関わり方を見つめ直すきっかけとなります。

 地元の人々はこう語ります。「知床の自然は、守るものではなく、共に生きるもの」。その言葉の意味を実感できるのが、このプログラムの大きな魅力です。雄大な自然の中で、環境保全の現場に触れ、自らの行動が未来をつくる一歩になる。知床は、まさに“学びのフィールド”として、訪れる人に深い気づきを与えてくれます。


3泊4日の参考行程表

(半 日 、 1 日 などの プ ロ グ ラ ム をもご 用 意 し て お り ま す)