1. 衛星データは、実は私たちの生活のすぐそばに
「衛星データ」と聞くと、専門家が扱う難しい技術という印象を持つ人も多いかもしれません。しかし実際には、私たちの日常生活はすでに衛星データと深く結びついています。天気予報に欠かせない気象衛星「ひまわり」や、普段使っている地図アプリの衛星画像など、身近な場面で数多く活用されています。宇宙開発が加速する今、衛星データは社会にとってますます重要な存在になりつつあります。
こうした背景のもと、私たちは2019年に株式会社sorano meを創業し、「わたしたちの日常を、宇宙ビジネスで豊かにする」というビジョンのもと、衛星データの解析や利活用支援に取り組んできました。
将来、あらゆる分野で衛星データを扱う人材が求められる時代を見据え、若い世代をはじめ、より多くの人が衛星データに触れられる環境づくりが重要だと考えています。

2. ボードゲーム「宙の知恵」とは
こうした思いをかたちにしたのが、ボードゲーム「宙の知恵」です。「宙の知恵」は、ゲーム体験を通して衛星データの特徴や可能性に気づき、考える力を育てることを目的に開発されました。実際の衛星データ活用事例や技術を、遊びながら学べるよう設計されています。
プレイヤーはプロジェクトマネージャーとなり、限られたリソースの中で観測や開発を戦略的に進め、売上の最大化を目指します。カードには、実社会で活用されている衛星データの事例や技術が盛り込まれているほか、雲がかかると光学衛星では観測できない、観測したいタイミングで衛星が上空にいないといった、実際の衛星データ利用で生じる制約やジレンマもルールとして再現されています。
ゲームを通して、衛星データを用いたビジネスや課題解決を考えるうえで必要な視点や知識に、自然と触れられる仕組みになっています。

3. 「楽しい!」から始まる学びの循環
完成後、多くの方に「宙の知恵」を体験していただきました。「他のプレイヤーとの勝負が楽しかった」「事例カードを読むだけでも学びがあった」「身近な課題に衛星データを使えそうだと感じた」といった声が多く寄せられています。
アンケートでは「またやりたい」と回答した人が100%という結果になりました。プレイヤー同士がカードの内容を紹介し合い、「そんな事例があるのか」「自分の地域でも使えるかもしれない」と自然に会話が生まれ、学び合う場が生まれていたことも印象的でした。
ゲームの最後には、自分の身近な課題と衛星データを組み合わせた課題解決アイデアを考える仕組みも組み込まれています。楽しさを入口に、最後には自分ごととして真剣に考える——その学びの流れが、このゲームの大きな特徴です。
4. 高校生が衛星データで探究する学びへ
衛星データを利用するハードルは年々下がっています。無料で使えるデータや解析ツールも増え、専門的な機材や高度な知識がなくても扱える環境が整いつつあります。
私たちは、「授業で衛星データを扱ってみたいが専門知識がなく難しい」という教育現場の声を受け、衛星データ解析のハンズオン型授業を実施しています。生徒自身が関心のあるテーマを設定し、衛星データを用いて分析・調査を行う実践的な学びです。
授業に参加した高校生の中には、地元で発生した赤潮をテーマに、衛星データを使って原因や兆候を調べた生徒もいました。テーマを広げながら深く探究していく姿は印象的で、成果発表や更なる探究活動へとつながる経験になりました。
5. 「宙の知恵」を起点に、未来を自分で考える学びへ
私たちが目指しているのは、衛星データを「専門家だけのもの」から、「誰もが自分ごととして扱えるツール」へと広げていくことです。宇宙は決して遠い世界の話ではなく、身近な課題や未来の仕事と密接につながっています。
まずは「宙の知恵」をきっかけに、衛星データに親しんでもらえたら嬉しいです。さらに関心を持った人が、解析や探究へと一歩踏み出せるような環境づくりにも力を入れています。
今後は、ボードゲームとハンズオンを組み合わせた教育プログラムをより充実させ、高校生を中心に幅広い世代へ届けていく予定です。講義とゲームで基礎を学び、身近な課題を設定し、実際に解析ツールを使って考察・発表まで行う——そんな一連の学びを体験できるプログラムを構想しています。
衛星データを通じて、未来を自分で考える力を育てる学びの場を、これからも共につくっていきたいと考えています。
もし学校や地域で衛星データを活用した探究活動に少しでも興味があれば、ぜひ一緒に取り組ませてください。衛星データを通じて、未来を自分で考える力を育てる学びの場を共につくっていきたいと考えています。
授業の構成の一例

