北海道東部に位置する釧路市は、面積の74%が森林で釧路湿原国立公園、阿寒摩周国立公園という異なる2つの生態系を持つ国立公園を有し、豊かな自然と共生する学びの場として、近年あらためて修学旅行の行き先として注目を集めています。かつてはアクセス面の課題から敬遠されがちでしたが、その「遠さ」こそが、都市部では得られない本物の体験価値を生み出しています。
北海道の中でも、最も北海道らしいダイナミックな自然が広がるのが道東です。広大な湿原や野生動物が息づく風景は、まさに“本物の北海道”を感じさせてくれます。

釧路湿原は、さまざまな視点から体感することができます。釧路川では、普段は立ち入ることのできない湿原の奥深くをカヌーで進み、水上からその雄大な自然を身近に感じることができます。運が良ければ野生動物の姿を見ることもできます。
また、「SL冬の湿原号」に乗車すれば、白銀に包まれた幻想的な冬の湿原の風景を車窓から楽しむことができます。さらに、ガイドの案内のもと木道を散策することで、植物や野生動物の息づかいをより身近に感じることができ、湿原の魅力を多角的に学ぶことができます。

釧路の最大の魅力は、広大な自然そのものだけではありません。そこに息づく歴史や文化のストーリーをガイドから聞くことで、目の前の風景が何倍にも広がって感じられる点にあります。何気なく見える湿原の風景も、人々の営みやアイヌ文化の背景を知ることで、まるで物語の中に入り込んだかのような感覚を味わうことができます。
釧路市に隣接する鶴居村の「キラコタン岬」は、湿原の最深部に位置し、長い間人を寄せつけなかったことから“湿原の聖域”と呼ばれています。約1万5千年前から人の活動の痕跡が残るとされ、そこを流れるチルワツナイ川の蛇行は釧路湿原の核心ともいえる景観です。その美しさは、言葉を失うほどの迫力があります。
※同地は天然記念物区域に指定されており、立ち入りには許可が必要です。

現代は人工物や情報にあふれています。だからこそ、あえて「何もない」手つかずの自然の中に身を置くことで、自分自身と向き合う時間が生まれます。釧路の自然は、普段の生活では出会うことのない“もう一人の自分”に気づかせてくれる場所でもあります。
一方で、この豊かな自然も決して当たり前のものではありません。釧路湿原周辺では太陽光発電施設の建設が進み、動植物への影響が懸念されています。こうした環境問題をテーマに、現地で探究を行う修学旅行も実施されています。事前学習から現地検証、提言へとつなげる——このような探究型学習が実践されているのも釧路の特徴です。
また、国の特別天然記念物であるタンチョウは、かつて絶滅寸前まで減少しましたが、地域住民による保護活動により、現在では1万羽以上にまで回復しています。日本最大級の鳥とされるタンチョウの神々しい姿、そしてタンチョウにまつわる数々のドラマチックな物語に触れることで、その美しさや尊さを実感するとともに、守り続けていくべき存在であるという意識が自然と高まります。

さらに、釧路湿原野生生物保護センター内の猛禽類医学研究所では、日本で唯一、野生のオジロワシやオオワシ、シマフクロウなど主に道東に生息する猛禽類の治療・保護が行われています。バックヤードツアーでは、治療やリハビリの現場を専門家の解説とともに見学でき、命と向き合う貴重な機会となります。
阿寒湖周辺には北海道最大級のアイヌコタンが広がり、伝統文化や自然観を体験的に学ぶことができます。自然と共存する知恵や、万物に宿るとされるカムイ(魂)への感謝の心に触れる経験や、アイヌの伝統文化を引きつぐ人々の姿はこれからの社会を生きる上で重要な学びとなります。

気候面でも、釧路の夏は冷涼で過ごしやすく、冬は雪が少なく晴天率が高いため、安定した行程が組みやすくスギやヒノキ科の自生もしていないことから花粉の心配もほとんどなく年間を通して快適な旅を楽しんでいただくことができます。また、バリ島、マニラ湾と並び「世界三大夕日」と称される美しい釧路の夕日は、訪れる人に深い感動を与えます。
日本にいながら、どこか異国のような空気を感じさせるまち、釧路。ここには、本物の体験と心に残る学びが確かに存在しています。修学旅行というかけがえのない時間を、この地で過ごしてみてはいかがでしょうか。
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