地域を学びのフィールドに
足助高校観光ビジネスコースでは、「課題研究」「ビジネス基礎」「観光」などの科目を横断的に組み合わせ、PBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)を中心に据えたカリキュラムを展開しています。
その中核を担っているのが、独自の取り組みである「高校生トラベル®」です。
「高校生トラベル®」とは?
令和4年度に商標登録された「高校生トラベル®」は、足助高校の生徒たちが旅行業者と同様に旅行企画や観光案内を行う実践的プログラム。地域の課題や観光資源と、探究的な学びや歴史教育を結びつけた新しい形の観光教育です。将来的にはこのモデルを全国に広げ、「観光の地産地消」や「地域課題の協働化」を目指しています。
プロジェクト1:小学校総合学習プロデュース
足助の町並みや香嵐渓などを活用し、小学6年生を対象に歴史学習ツアーをプロデュース。生徒はガイドやクイズの出題、オリジナルシールの配布を通して、小学生の学びを支援するとともに、足助を再訪するきっかけづくりも行っています。
プロジェクト2:足助スタディツアー
東京都の新渡戸文化高校と連携し、令和3年度から年2回実施しているPBL型の修学旅行。テーマは「中山間地域の交通・過疎問題」「獣害とジビエの活用」「観光地の負の側面」など。高校生同士の交流を通じ、地域の課題や魅力を再発見する機会となっています。
プロジェクト3:豊田市山村交流ツアー
足助高校の取り組みが評価され、令和5年度より豊田市から業務委託を受けて実施している地域密着型のツアー。市民に山村の魅力を伝える企画やアテンドを高校生が担当し、令和6年度は4回のツアーを成功させました。
「旅」を通して地域とつながる学び
「高校生トラベル®」の活動を通じて、生徒たちは地域の魅力や課題に気づき、地域の人々の思いや文化の重みを実感しています。こうした実践をきっかけに、遠方から足助高校を志望する生徒も増加。卒業後は地方創生や観光に関わる進路を目指す生徒も現れ、地域の未来を担う人材育成の基盤が育ちつつあります。
令和8年度、観光科スタートへ
令和8年度には愛知県初となる観光科の設置が予定されています。新たに「観光英語」「簿記」「観光まちづくり」などの専門科目が導入され、インターンシップや商品開発、大学連携によるSNS発信など、より実践的な観光教育が展開されていきます。
将来的には、インバウンド対応力やデジタル技術(VR・AI翻訳)の活用も視野に入れ、国際水準で持続可能な観光案内ができる人材の育成を目指します。
足助高校はこれからも地域とともに歩み、観光産業の担い手を育てる「学びの旅」を進化させていきます。
【街キャンメンバー さとう】
この度はご寄稿いただきありがとうございました。すべての活動が「旅」を通じた学びと地域貢献を両立した内容になっておりとても勉強になりました!
令和8年度からは愛知県初の「観光科」も設置予定 とのことでこれからも貴校の取組みについてご教示いただければと思います。