【探究の種】 野外活動がひらく、教科を超えた学びの可能性―国士舘大学永吉研究室の取り組み―

野外活動を通して育まれる学びは、教科の枠を超えて広がっていきます。国士舘大学永吉研究室の取り組みでは、自然体験と学校教育を結びつけ、体験と学びを往還させる教育実践が行われています。子どもたちが自ら考え、協働しながら成長していく学びの可能性を 国士舘大学の加藤晃也先生にご紹介いただきます。

【はじめに】

国士舘大学永吉研究室(野外活動部)では、野外活動やアウトドアスポーツを通じて、地域の子どもたちの「生きる力」の育成や興味・関心の深化を目的とした活動を行っています。

また、活動を通して大学生自身も体育・スポーツ指導者としての人間形成を図るとともに、専門的な知識や技能、効果的な指導法を身につけ、学校教育や社会教育の現場で活躍できる人材の育成を目指しています。

主な活動として、沖縄の離島での18泊17日の長期キャンプや、地域の自然を活用した野外活動を小中学生向けに実施しています。日常とは異なる環境の中で、子どもたちは自ら考え、工夫し、協力しながら課題を乗り越えていきます。こうした経験は、教室内では得がたい主体的な学びの機会となっています。

【野外活動と教科をつなぐ学び】

こうした自然体験は、学校での学びと切り離されたものではなく、相互に関連しながら深まっていくものです。

例えば、「火はどのようにつくのか」「この地域にはどのような特徴があるのか」といった問いは、理科や社会科の学習内容と重なります。学校で学んだ知識が体験の中で活用されることで、学びはより実感を伴ったものとなります。

また、自然体験の中で生まれた疑問や関心が、総合的な学習(探究)の時間へとつながることもあります。野外活動で育まれる力は、教科で育成を目指す資質・能力と密接に関係しており、学びを教科の枠を超えて捉える重要性を示しています。

【実践事例】

教科等横断的な学びの実践として、小学校体育科「体つくり運動領域」と関連づけた取り組みを行いました。

野外活動では、キャンプファイヤーにおけるレクリエーション活動に焦点を当てています。体つくり運動が目指す「体を動かす楽しさ」や「仲間との交流」といったねらいは、レクリエーション活動と深く結びついています。

体育の授業で取り組んだ活動を、キャンプファイヤーという環境の中で再構成し、児童自身がルールや進め方を工夫しながら活動を展開しました。

その結果、児童たちは単に楽しむだけでなく、仲間と協力することの大切さや、多様な人との関わりの面白さに気づくことができました。

このように、教科での学びを野外活動で活用し、その経験を再び教科へと還元する往還的な学びによって、子どもたちの理解と成長はより深まっていくと考えられます。

【今後の展望】

今後は体育科にとどまらず、各教科との関連をより意図的に設計していくことが重要だと考えています。

学校で身につけた知識や技能を、野外活動や生活体験の中で活用する機会を設けることで、学びはより実感を伴うものになります。

例えば、理科で学んだ自然現象を実際の環境で観察したり、国語で培った表現力を振り返りに生かしたりすることが考えられます。

こうした「学びを使う経験」を積み重ねることで、子どもたちは学習内容の意味を再認識し、より主体的に学びを深めていくことができます。

そのためには、事前・事後を含めた学習過程の設計が不可欠です。事前に学びとの関連を意識づけ、事後に経験を言語化することで、学びを可視化していく必要があります。

学校と実生活を往還する学びを、今後も実現していきたいと考えています。