【探究の種】サッカークラブが社会課題に挑む理由 ~ヴァンフォーレ甲府のサステナビリティ施策~

サッカークラブはなぜ社会課題に向き合うのか。ヴァンフォーレ甲府の取り組みを通して、地域との関係性の中で生まれた課題と、その解決に向けた挑戦を紹介します。「社会共創」という考え方のもと、継続されてきた実践に迫ります。

【はじめに】

ヴァンフォーレ甲府は、山梨県甲府市・韮崎市を中心に県内全市町村をホームタウンとするプロサッカークラブで、2026年時点ではJ2リーグに所属しています。2025年には、起源となる甲府サッカークラブ誕生から60年、ヴァンフォーレ甲府への改称から30年を迎えました。

これまでにJ1初昇格、天皇杯優勝、AFCチャンピオンズリーグベスト16などの実績を重ねてきた一方で、2000年には経営危機によりクラブ存続が危ぶまれる時期もありました。

【復活、そして課題へ】

この危機を、自治体やスポンサー、サポーター、地域の皆さまの支援によって乗り越えたクラブは、その後成績も回復し、来場者も増加していきました。

しかしその一方で、新たな課題が生まれます。
スタジアムおよび周辺での「ごみ問題」です。

来場者の増加に伴い、ごみ箱の容量を超えるごみが発生し、試合のたびにあふれる状況となりました。

【リユース食器という挑戦】

「地域の皆さまに支えられてきたクラブが、負担をかけてはいけない」
そう考えたクラブは、ごみの組成調査を実施。飲食由来のごみが多いことが判明しました。

そこで2004年に導入されたのが、リユースカップです。
スタジアムで販売されるドリンクは100%リユースカップで提供され、デポジット制により回収・再利用される仕組みです。

回収されたカップは洗浄・殺菌され、再び使用されます。2007年からはフードにもリユース食器が導入されました。

当初は手間や価格への誤解から反対の声もありましたが、丁寧な説明と継続により理解が広がり、現在ではJリーグでも最も長いリユースの歴史を持つ取り組みとなっています。

累計約117万回の使用により、約90トンのCO2削減という成果も生まれています。

【広がるサステナビリティ施策】

ヴァンフォーレ甲府はリユースにとどまらず、さまざまな取り組みを展開しています。

カーボンニュートラルゲームの実施(ホームゲームの電力由来CO2実質ゼロ)HEROs PLEDGEとの連携によるプラごみ削減

パラスポーツ施設の運営(全国初)これらはすべて、地域や社会とともに進める「社会共創」の一環です。

【言葉になる前から】

現在ではSDGsやサステナビリティという言葉が広く使われていますが、ヴァンフォーレ甲府はそれ以前から取り組みを続けてきました。

その原点にあるのは、
「地域の負担にならない存在でありたい」
というシンプルな思いです。

地域のためになることをまず実行する。
その積み重ねが、結果として社会的価値へとつながっています。

【これからに向けて】

これらの取り組みは、今や地球規模の課題ともつながっています。
今後も地域とともに、より良い仕組みやアイデアを形にしながら、持続可能な社会づくりに貢献していきます。